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2023.11.26

世界最大の物流展/CeMAT ASIA2023動画レポート(後編)

さて、CeMAT AISA2023動画レポート(後編)です。(前編はコチラ

Spark Your Solution というブランドメッセージが印象的な锋馥(HONG FU)は、主に、1時間あたり10,000個の仕分け能力の高速ソーターを展示していました。コンベアの上にボックスが設置されてその中にはカメラがあり、その中は細かなコンベアで構成されており、それぞれのコンベアのスピードが調整されて1個1個の箱が切り出されて排され、その後クロスベルトソーターで仕分け。さながらF1見ているような迫力で人々を惹きつけていました。



金峰 (GINFON)は本社をシンガポール、生産工場を蘇州の持つコンベアメーカーで、流通研究社様主催のアジアシームレス物流フォーラム2023(東京流通センター)でも出展していました。今回の展示ではマルチベルトソーターを出展していましたが、実際に近くで見てみると静かさに驚きました。動画ではその部分のみBGMをカットしていますので、ぜひ音をお確かめください。


「ZOZOBASEつくば3」で話題の「ポケットソーター」に見た目が似ているソリューションであるハンガーシステムを展示していたのは、衣拿智能 (INA Intelligent)。こちらは衣料品の生産システムを前提としているみたいですが、応用出来ればコストはかなり安く出来そうな印象でした。


inform 音飞 (Nanjing Inform Storage Equipment)はシャトルラックと天井レールシャトルの組み合わせを展示していました。天井レールシャトルは、日本では主に製造業の工程間搬送で使用されているソリューションです。


赤いフェラーリのようなデザインのシャトルカーが印象的な华章智能(HWA)はサイズ可変タイプのシャトルカー+ピッキングステーションの展示をしていました。ソリューションとしては目新しい部分はありませんが、以前よりもデザインで差別化を図ろうとしているメーカーが増えている印象です。


HITO Robotic Systemも、宇宙~近未来的なデザインが特徴的なAMRを出展していました。


フォークマンの人手不足により注目されている自動フォークですが、TUSKROBOTSでひときわ目を惹いていたのが、自律型パレットハンドリングロボット。大型のAMRといった見た目ですが、そこからフォークが出て来てパレットを持ち上げて、そこにロボット本体が入っていきパレットを搬送する仕組み。人感センサーも充実しており、人がいるエリアでも導入出来るようになっている。トラックから荷下ろしした後の入荷エリアまでの搬送等でこれから大活躍してくれそうなソリューションでした。


井松智能 (Gen-song)は自動フォークリフトとAMRを展示していました。自動フォークの動きをみると、まだまだ人が操作する場合と比べて遅いと感じました。今後更に進化するとは思いますが、現時点では人がいない夜間の時間帯で使用するような導入イメージで調度良いかも知れません。


最後にご紹介するのが米玛 (MIMA)の多方向移動フォークリフトです。12.5mの高さまでパレットを挙げることが出来、横移動など多方向に移動できるフォークリフトを展示していました。フォークリフトは専門外ですが、日本の物流センターではあまり見ない動き方をしていました。横にそのまま移動できることでより狭い通路での出し入れも可能になるのかと思います。


今回のCeMAT ASIAでは以下の3つの点が特徴だと感じました。

まず一つ目は類似ソリューションの拡散スピードの速さです。

クイックトロン社の専売特許だと思っていたクイックビンのCTU(Carton Transfer Unit)×子機(AMR)の組み合わせですが、今回のCeMATでは大手AMRメーカーが軒並み類似ソリューションを出展していました。取り出す仕組みを少しずつ変える等、従来機+αの工夫を各社行っていました。また、Geek+のポップピックのような、高い棚の自動棚搬送ロボットをステーションを設けてロボットがおろして人間がピックするタイプのGTPの仕組みも、Mushinyがストレージを追加したカタチの類似ソリューションを出していました。また、オムニソータに似たソリューションも大手の京東物流も含め数社が出展していました。上海のマテハンメーカーの方にお話を伺ったところ「展示会に出展すれば半年でパクられて、1年で拡散する。」とのことでした。実は最新ソリューションは展示会には出展していないというメーカーもあるようです。日本の市場では商道徳的にはありえないと思いつつも、その貪欲さと勤勉さと努力と技術力とスピードには脱帽します。

二つ目は、外国企業の出展数の少なさです。

覚えている範囲ですが、目立っていた日本企業はアイオイ・システム、SATO、Panasonicくらい。ドイツなどの欧米系の企業は目立っていませんでした。三菱自動社が中国生産と中国での販売から撤退したことに見られるように、中国国内メーカーとの競争の激化と技術力の流出を懸念して外国企業の出展が少なくなっているように思えました。

3つ目は、半自動化の機器の少なさです。

日本ではメジャーなラピュタを代表するようなピッキングアシストロボットが見学した範囲ではシリウスしか出展していなかったことです。AMR・CTU・シャトルシステム等は数えられないほどのメーカーが出展していたにも関わらず、ピッキングアシストロボットはわずか1社程度。これは日本も状況が近いかも知れませんが、ピッキングの効率化を考える時の第一想起が省人化よりも自動化になってきているため、少なくとも展示会ではGTPのソリューションが中心になっていると考えられます。

一方で、製函機・封函機のメーカーがほとんど出展していなかったのも印象的でした。ほとんどのソリューションが自動化に向かっている中、なぜ梱包工程の自動化ソリューションが少ないのか疑問に思いました。こちらも上海の物流業界人に聞いたところ「物流センターで働いている方の給料が梱包した数等による歩合制になっているため、かなりのスピードで梱包でき、中国の人件費が上がってきたとは言え自動化の機器を入れるよりはまだまだ人がやった方が安い」とのことでした。こうした状況から、大企業の物流センターではGTPを中心とした自動化が進む一方で、中小企業ではまだまだ人海戦術での対応となっていて、自動化が進んでいないところが多いのではと思いました。(このあたりは、また中国のマーケット情報が入りましたら追加します。)

CeMAT ASIA2023のレポートにお付き合いいただきありがとうございます。弊社は物流センター全体のエンジニアリングを行っていくために、各工程において最適なソリューションを持つ企業とパートナーシップを構築しています。また、上海にはタクテック上海というグループ会社もあり、今回の動画に出展しているような中国企業ともシームレスにコミュニケーションできます。気になるソリューションがありましたら、お気軽にお声がけいただきたいと思います。

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